初心と回想

こんばんは。わこうです。


先日、高熱を出してから数日間は布団の中でおとなしく過ごしていました。基本、医者嫌いなんですけど、医者の指示には従うことにしています。動きたくても身体が動かなかったというのもありますが。


布団の中で熱にうなされながら、いろんなことを考えていました。今までの仕事や人生のこと、そしてこれからのこと。そもそも、どうして社労士になったんだっけとか。


完全に私見ですけど、子供の頃から社労士に憧れる人なんてほぼいないんじゃないかと思うんです。両親とか近しい大人に社労士がいれば話は別ですが。じゃあ、みんなはどうして社労士になろうって思ったのかなぁとか。


子供の頃は父親の働く姿を見て、なんとなく自分も同じような道を進むのかなと漠然と思っていました。


父はメーカーの技術者でした。仕事が大好きで、始発で出勤して終電で帰ってくるような人でした。だから、子供の頃の旅行の思い出に父の姿はありません。それでも、日曜日に秋葉原へ連れて行ってくれたときはとても嬉しかったですね。


そんな父が勤務中に過労で倒れ、開腹手術となりました。退院して大きな手術痕を見せながら「技術者は腹を三回切って一人前」と笑ってました。たしか、自分が小学校高学年くらいのときでしたが、その傷跡がとても怖かった記憶があります。


それから、将来の夢から技術者は消え、しばらくはなんとなく過ごしていました。


高校生の頃に見た「アンタッチャブル」と「マルサの女」で帳簿を読める人間になりたいと思い(笑)、会計方面に方針転換しました。大学で財務会計を専攻して、超氷河期の就職活動でもなんとか経理の仕事に就くことができました。ただ、働き始めると、なんとも言えない違和感をずっと感じていました。


会社の論理と職務の論理がぶつかると、会社の論理が優先される感じですかね。どんどん、自分の仕事が会社の外から見たときに職務としての水準を満たさないものになっていくんじゃないかと思うようになりました。


また、社内の出世にはゴルフ必須、飲み会参加必須、親会社とのパイプ必須という状況や、上司から今後10年は経理で飼い殺しします発言もあり、10年かけて数メートル先の課長席や部長席に座る自分が想像できなかったことで転職を決意しました。


そこから、流転の転職人生がスタートします。会計事務所、ITベンチャー、医療法人、材木屋と多種多様な職場で経理や人事労務の仕事をしてきました。求められればいろんなことをしてきました。


気がつけば、自分も日が昇る前から出かけて、終電で帰ったり徹夜したりの日々でした。自分が怖いな嫌だなと思っていた父の働き方とまったく同じです。


働くってなんだろうと初めて真剣に考えた時期かも知れません。


それでも結局、自分も身体を壊し、精神的にも追い詰められるようになりました。すでに仕事は生活や職務の安定を求めるものではなく、自分が求められるものに応えていくものという悲壮感と焦燥感の混じったものになっていきました。短期間で転職を繰り返した30代はまさに迷走そのものでした。


そんな中で派遣社員になったり、社内ではなく対クライアントの仕事を経験したりでいろんな視野も見えてきた頃に社労士に興味が湧いてきました。でも、この頃はまだ仕事さえできれば資格なんてという思いでした。まだ、社労士はただの資格のひとつという認識でした。


40歳を過ぎた頃には自分の仕事は困っている管理部門の職場の課題を解決することで、問題解決後の転職はステップアップという考えになっていました。主にシェアードサービスやアウトソーサー勤務の時期です。


その過程で結構大規模な人事システム導入などにも携わることもできましたし、会社の中の人ではなく外部の人として仕事をすることにも馴染んできた時期でもありました。介護や保育といった分野を知れたのも良い経験となりました。


ただ、この頃から部下に社労士の有資格者が在籍したりすることがあったりして、資格を取ることでもっと彼らに対しても責任を持てるようになるのかなと意識し始めました。


そして、ある新設の社労士法人で立ち上げのお手伝いをさせていただくことになったのですが、代表の先生が半年でいなくなってしまう事態が発生しました。やる気と自信をなくしてしまったという、どうして今さらそうなった的な展開なのですが、とにかく社労士法人には社労士がいなければどうすることもできません。


ここで初めて自分が無資格者であることを痛感しました。それまでも何度か社労士を受験したことがあったのですが、本気で取り組んだのはこの後が初めてでした。このリベンジは果たさなければという感じです。


仕事の責任感というより、悔恨の念から最後の一押しをされたのかも知れません。


こうして、たくさんの会社を渡り歩きましたが、基本的には経理と人事労務をずーっとやってきました。会社に対しての忠誠心は残念ながら持ち合わせなかったのですが、職務対しては忠実でいたかったのかなという感じです。


本当に行き当たりばったりで不器用な人生の歩き方です。


最初に書いた父ですが、実はとても処世術に長けた人でした。組織の中でどう生きるかみたいなことをちゃんと押さえた上で、自分のやりたい仕事をしていたそうです。父の定年後に初めてその話を聞いたとき、もっと早くそれを聞いていたら自分は違う人生を歩んでいたのかとも思いました。


でも、たぶんそれはないかなと思います。やっぱり、それは父の社会人人生の歩き方で、自分の人生の歩き方じゃないかなと。


それでも、そんな自分だからこそお手伝いできることがここにはあるんじゃないかと思って開業の準備を進めています。頭の中同様にぐちゃぐちゃですが、こんなことを布団の中で思い出しながらの数日間でした。

日々是学日

転職を繰り返してきた元会社員が47歳で社労士に。事務所の開業に向けて日々思うことを綴ります。ときどき家族やミニチュアダックスとの日常も。

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