こんにちは。わこうです。
先週、給与計算を得意にされている先生のセミナーに参加してきました。自分も給与計算を入り口として他の業務に広げたいと考えていたので、事例や最近の動向は大変参考になりました。
自分が提供するサービス体系を考えた時に、入り口かつメインとなるサービスはやはり給与計算です。もちろん、ベンダーやシェアードサービスでの経験が長いというのもありますが、委託の効果やメリットを実感してもらえる分野だと思うからです。
ベンダーに在籍していた時によく言われたのは、作業手間や時間コストの削減、法令対応も含めて正しく処理してもらえることにメリットや安心感を感じて依頼をしているというご意見でした。単純にコスト削減の視点だけでご依頼いただいている方もいらっしゃいましたが、自分が関わった中では少数派でした。
雇用をしていれば給与計算をしないわけにはいきません。しかも業務そのものは面倒なのに利益を生まないですし、間違えれば文句を言われ訂正もさらに面倒。
完全というわけにはいきませんが、これらの大部分が視界から消えてなくなるわけです。手離れが良くて間違いが減れば、本業に注力したり、手をつけたくてもできなかったことにリソースを割くことができるようになります。
受託側の視点からすると、クライアントの情報を毎月入手することができるようになります。社長や担当者とも定期的にお話をする機会も生まれます。ここから、様々な提案のきっかけが生まれます。就業規則や賃金規程などの改訂だけでなく、給与計算をフックにして、その業務周りのワークフロー改善提案も可能です。
直接給与計算を受託していなくても、各社が運用しているフローや計算結果を監査、チェックすることも考えられます。将来的に企業の給与情報の電子申告が義務化となれば、各社の計算結果をチェックした上で電子申告を代行することも考えられます。
今から準備できることとして、労務監査業務のひとつとして給与計算のレビューをサービス化できないか検討しています。このレビュー自体を給与計算受託の前段サービスとして位置付けることもできるかもしれません。
将来的に給与計算業務はAI化やRPA化が進むと予想されています。現実にクラウド化の進展で業務の形が変わりつつあります。少なくとも、給与計算受託の関わり方を変えることにはなりそうです。
従業員データや勤怠データがスマホや各種デバイスから自動的に取得できるようになり、ダイレクトにシステムに流れ込む。その結果が給与計算結果として出力されて振込データとして金融機関に送られ口座や電子マネーとして従業員の元に届く。給与データが電子申告され支給金額の把握だけでなく社保料や徴税のデータベースに登録される。
その流れの中でできることは大きく2種類になるかと思います。ひとつ目は、この一連の流れごと丸受けすることです。今の給与計算受託の延長線上にある姿だと思います。よほどインフラとしての標準的システムが安価かつ容易な形で供給されなければ、この形態は中小企業を中心に残ると思います。もうひとつは、この一連の流れを外部専門家として監査することです。チェック機能としての役割を果たすことで、信頼性を担保することになります。
システムが高度化すればするほど後者が増えることになると思いますが、そのために監査やレビューのサービスを準備しておく必要があると思っています。
そのような流れの中でも、これらのシステムを正しく管理運用したり、分析改善することはしばらくは人間の仕事として残ることになると思います。なぜなら、システム化をするということは、業務を整理して各種要件を定義する必要があるからです。
給与計算ソフトの導入ひとつを取っても、賃金規程や勤怠管理を整理した上で初期設定と運用フロー設計が適切に行われなければ、計算結果が正しく出力されることはありません。実際、初期設定が間違っている給与計算ソフトをたくさん見てきました。大企業であればその対応のための人員や予算、蓄積された知見やデータベースなどのリソースがあるかもしれませんが、中小企業においてはどの要素も必要十分に揃えるのは難しいところです。そのための支援やチェック機能として、自分にできることがあると思っています。
とは言え、社労士業務全体から見れば面倒なことは面倒だし、間違った時のリスクもあるし、利益率もあまり良くないし、将来的にAI化して無くなるかもしれない給与計算業務に力は入れられないという意見もあるかと思います。もちろん、そういう考え方もありますし、むしろもっともだと思います。ただ、逆張りというわけではありませんが、将来やりそうな人が少なくなりそうな業務だからこそ、そこをまとめて面倒見ることもできるのではないかなと思うのです。
そもそも、作業が自動化すれば多くの給与計算を受託する社労士事務所にこそメリットがあると言えます。そういった意味でも、給与計算は積極的に取って行こうと思っています。近隣で給与計算を前面に出してる事務所もあまりなさそうですし。
給与計算のソフトウェアについては、クラウドとオンプレミス(CD-ROM)の併用で行こうと思います。信頼性では既存のシステムがまだまだ優位ですが、新しい仕組みを理解、把握しておくためにクラウドもいくつか試して使用したいと思います。特に給与計算に連携する電子申請や勤怠管理は日進月歩の領域ですので、幅広く使い勝手を把握して判断基準を持っておきたいと思います。
また、給与計算と切っては切れない業務に年末調整があります。ここについては税理士さんと連携して対応することにしようと思っています。先日のセミナーでも社労士の先生と税理士の先生がお互い歯切れが非常に悪くて思わず笑ってしまった部分ですね(笑)。
だからというわけではありませんが、税理士さんじゃないとできませんからウチはノータッチですとかいうような対応をするつもりはありません。クライアントさんの不便や不利益にならないようにしっかりと対応するようにしたいと思います。
そして、料金設定については給与計算で利益がしっかりと出せるように設定をする予定です。最初は近隣事務所や大手ベンダーの料金設定を意識しすぎてかなり安めの設定をしてしまっていたのですが、提供するサービスのクオリティに責任を持つためにもきちんと対価を設定しようと考えを修正しました。もちろん、それに見合う内容のサービスを提供し続ける必要がありますが、事務所の主力サービスとするからには自信を持って対応したいと思います。
また、自分が作業できる月間の工数にも限度がありますので、その部分ともバランスを取れるように調整しています。
長くなりましたが、そんなこんなでサービスの修正と料金表の修正に追われる三連休となりました。
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